感想を書いていただけなのに 第一話 ~ はじめのパクリ疑惑 ~
画像はイメージです。
今回はグルメガイドをお休みして、創作ストーリーを書いてみました。
他人の表現やアイデアを盗んで勝手に使う、「パクリ」を題材にした話です。タイトルは、「感想を書いていただけなのに。」
はじめのパクリ疑惑
ある日、グルメ投稿サイトのタイムラインで、新着レビューを目で追っていると。
「あ。」
どこかで読んだことがあるような文だ。
”表面はゆるめだが、芯はしっかり。その食感のコントラストが、いい表情を作り出している麺”
……もしかして、こないだ書いたラーメン屋の口コミと同じ?
おいしくて嬉しかったから、とびきりジャストな表現をひねり出して書いたんだっけ。
知らない誰かが、そのまま文をコピぺして、どこかの店の口コミレビューを書いていた。
……いや、ふと目にした言葉が、記憶の片隅に残っちゃったのかもしれない。
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このグルメサイトは、インスタグラムやツイッターのように、フォローしている人の新着投稿レビューが、タイムラインに載る仕組み。
相互フォロー中のレビュアーは、それぞれの新しい口コミを読み合うことができる。
……それとも、単に表現が かぶっただけ?
自意識過剰もほどほどにしないと、偶然同じものを書いた可能性だってある。
言葉は皆に共通のツールだ。ひねりだしたその表現は、たまたま私が書いただけで、私の持ち物じゃない。
口コミを書いた人の意見が、何か書いてあるかもしれない、と、コメントを読んでみた。
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「麺の感じがよくわかります、いいですね。」と、読んだ誰かが書いていて、思わずゆるむ口元。
思うに。単なる思いつきでもパクリでも、きっと「使えるかも。」と思ったから、書いたのに違いない。
もしパクられていたのだとしたら、ちゃっかりカウントしてもいいのかな。知らない誰かからの肯定票が一票!って。
初めはそんなふうに思った。スケッチを続けてみよう。
よくあるパクリ
文章を書くことは楽しい、下手の横好きで続けている。いったん書きはじめると、時間は飛ぶように過ぎていく。
食事の感想を書くときは、書きながらだんだん思い出してきて、また食べたくなるのがいい。
文のパクリは、「人の表現を使ってまで、手っ取り早くなんらかの利益を得たい。」ときにするようなことと、私は思っていた。
グルメサイトならば、商業ライターのネット記事をコピペや切り貼りして、レビューを書き上げてしまうのが、よくあるパクリ。
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中身のあるレビューが楽に書き上がるし、読めば知りたい情報がすぐにわかって便利だからなのか、パクリはあとをたたない。
でも。他レビュアーが書いたものをパクるのは、実際、何か得になることでもあるんだろうか。
パクリゲーム
その数日後。またサイトのタイムラインで、新着レビューを目で追っていると。
「あ、まただ。」
今度は違う誰かが、例の麺の表現を「うどん」に使っているのを見た。
たしかに麺なら、この表現はいくらでも応用がききそうだ。
”表面はゆるめで芯はしっかりある。そのコントラストがいい表情を見せる、真っ白な太麺のうどん”
……えっ、ゆるいのに芯がある…うどん?
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どうしてそんなふうに書くんだろう。感じたおいしさを手っ取り早く伝えるために、パクるんじゃないのか。
特に話題のお店というわけでもないのに、コメントが長々と続いている。
「ウケる~、スカッとした。」
「こんなの、いくらでも書けるし書いてやんぜ。”あくまでも個人の感想”なんだし。」
「一斉に同じの(表現)をあげてみたら?気づけば、さっさと駆逐できるかもよ。」
……えっ、まさか!特徴のある声の子を、よってたかって真似してからかう小学生、みたいなこと?
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仲間同士の気軽なおしゃべりの続き、みたいな感じで、会話は続いていた。
それまで、何らかの利益につながるような、サクラやステマレビューは中にはあるんだろう、くらいの想像はしていたけれど。
それ以外はたぶん皆、ただ素直な感想を書いているだけ、と私は思っていた。
スケッチを続けてみよう。
~次回へ続く~
画像出典:写真AC
※この物語はすべてフィクションです。登場する人物、団体、地名は架空のものであり、実在のものとは一切、関係がありません。
感想を書いていただけなのに 第二話・三話
いつもは、普段使いのグルメガイドを書いています。 著者のトップページへ戻る
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【感想を書いていただけなのに】は、三話完結の物語です。お時間のある時にぜひどうぞ。
【2020.9.4.初投稿】
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