感想を書いていただけなのに 第二話 ~ パクリゲームでフルボッコ ~
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文章のパクリを題材にした、創作ストーリーの続きです。
グルメ投稿サイトを舞台に、繰り広げられるパクリゲーム。その後の展開やいかに?
ウィットに富んだパクリ
ある日、またグルメ投稿サイトのタイムラインで、新着レビューを目で追っていると。
「あ。」
どこかで見たような一文。これは確実に読んだことがある、しかもごく最近。
フォロー中の誰かが、この間自分が書いた口コミのラスト一文を切り取り、どこかの店のレビューにうまく当てはめて……書いた?
……違う、きっと違う、そんなはずない!
たまたま同じことを書いたのに違いない、自意識過剰もいい加減にしないと。
特に話題のお店というわけでもないのに、またしてもコメントが長々と続いている。
これはいったいどういうニュアンスのことなんだろう、と思いながら読んでみた。
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「ウィットに富んだ文章、さすが!」
「比べものにならない、筆が立ちますね。」
「こういうのが書けるようになりたいです。」
……えっ、ひょっとして、みんな文筆家志望?ただ感想を書いているだけなのに?
他人の考えを知ると驚くことばかりだ。
こういう知恵のついたからかいを、すごくイケてることのように思ってしまうことも。
スケッチを続けてみよう。
パクリゲームでフルボッコ
文章の場合、「パクられました。」と断言するのはとても難しいことのように思う。コピペや切り貼りで、いくらでもアレンジがきくから。
もしも自分の表現をパクられたと感じて、相手にそれを問いただすような場面があったとしても。
「偶然の一致ですよ。」とか、「たまたま、私と同じ表現がひらめいたんですね。」とか。しれっと しらを切られて、話が終わるのが関の山だと思う。
結果として「自意識過剰だ。」とか「被害妄想!」とか、陰で悪口を言い合って盛り上がるための、エサを与えてしまうだけのような気がする。
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そんなことになるのだろうと思いつつパクリ続けるのが、またフルボッコ感が味わえて、楽しいのかもしれない。
同調圧力で「駆逐せよ !」
そのうち、著名人ばりに何千人ものフォロワーを抱えた人たちが、「今話題の新しい遊びはこれだ!」とばかり、自前のパクリを披露し始めた。
「上手く書けましたね。」みたいなコメントで盛り上がる、お決まりのパターンが続く。
だんだん、自分の周りにいる感じのいい人たちのレビューの中にまで、パクリ文を見かけるようになってきてしまった。
……なんだかドラマや映画みたいな展開になってきたぞ。
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でもまあ、どこにでもあるような話だろう。
人で賑わって華やいで見える場所が、実は吹き溜まりだった、なんてことは。
背景には、『郷に入っては郷に従え』の心理があるのかもしれない。
同調圧力が無視できないような集団の中にいて、そこで生き延びようと思うなら、気持ちに嘘をついて発言するのも、いたしかたないこと。
中には互いに面識があり、匿名ではいられない人たちもいるのだとすれば、多数意見には共感しておくのが無難だと思う。
それにしても。匿名性の高いネット空間での発言は、ストレスは抱え込まずに、発散する方向で続くみたいだ。
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それまで「話が合うかも。」と思っていた人たちが、こぞって新しい口コミを書いていないことにも気づく。
……そろそろ、やめ時かな。
レビューを書くのは楽しいから残念だけど。
~次回へ続く~
画像出典:写真AC
※この物語はすべてフィクションです。登場する人物、団体、地名は架空のものであり、実在のものとは一切、関係がありません。
感想を書いていただけなのに 第一話・三話
いつもは、普段使いのグルメガイドを書いています。 著者のトップページへ戻る
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【感想を書いていただけなのに】は、三話完結の物語です。お時間のある時にぜひどうぞ。
【2020.9.11.初投稿】
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